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音は人間の命のように、宇宙的な秩序とか、その絶え間ない繰り返しを生きたり死んだりして、生成し続けている……(武満徹)。音楽・自然・社会・文明。
世界的作曲家が札幌で語った熱い言葉を読み解く、知性と感性の交響。
時代を超えて響く、武満徹の言葉──
1982年札幌、岩城宏之指揮・札幌交響楽団により行われた「世界初演演奏会」。その舞台で世界的作曲家は自らの音楽のみならず、文化の多様性から自然と文明の行方について、情熱とユーモアを交えて聴衆に語りかけた。「1982武満徹世界初演曲集」として、2021年夏ドイツ・グラモフォンからCDリリースされた、異例の特別講演を完全収録した本書は、凝縮された内容を多角的に読み解きながら、世界とローカルの価値を考えるための豊かな水脈を探りあてる。小沼純一による講演「武満徹作品をどう聴くか」をはじめ、丁寧な解説と詳細な註を付し、初演にいたる経緯や武満と札幌の特別な結びつきをたどる関係者座談会、演奏資料等も掲載する。
My episode of Takemitsu in Sapporo
―曲目のすべてを世界初演で
作曲家として同時代に多大な影響を与えていた武満徹は、月刊ろんだん主催の演奏会に際し、そう提案しました。
異例のこと、だったかもしれません。初演のひとつに過ぎなかった、かもしれません。
しかし1982年6月27日札幌市民会館に流れた旋律は、長い時を経てよみがえり、世界を驚かせます。2021年ドイツ・グラモフォンからのリリースは、札幌交響楽団創立60周年の節目に重なることで、あらためて多くの人に、演奏会の意義を思い知らせることになりました。ただの初演ではなかったのです。
演奏会に際し、作曲家が曲目の間に講演を行ったことも異例でした。その内容は単に演奏曲の内容を紹介するだけではなく、20世紀を代表する芸術家の世界観を凝縮するものでもあります。ユーモアを交えつつ、深い思索に裏打ちされた表現で語られる、遥かな世界の言葉たちは、困難に満ちた時代に生きる21世紀のわたしたちにも、特別に響いてくるように思います。
武満徹と札幌のあいだに生まれた交流と、驚くべき演奏会として結実した多大な努力。その感動を書物のかたちで残したいと願い、演奏会から40年となる2022年春、出版を企画しました。
―札響は私の音楽と最も調和しているオーケストラだ。
そう語った武満徹の「調和」は音楽を超えて、多くの人にインスピレーションを与えることでしょう。
『武満徹、 世界の・札幌の』
MEI編 B6変型版 発行MEI 発売インスクリプト
武満徹 小沼純一 港千尋 上田文雄 高山秀毅 伊藤佐紀
定価 2,000円(+税)
2022年3月25日発売