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1962年現代音楽祭、1982年世界初演演奏会、1994年PMFレジデントコンポーザー。
世界の武満が、ローカル札幌に遺した功績は大きな演奏会や音楽祭にとどまりません。

「札幌の武満徹」プロジェクトは、札幌の人々の心に残る武満徹の思い出をたぐりよせ、
記憶のアーキペラゴ=多島海としてよみがえらせる、リサーチプロジェクトです。

みなさんからお寄せいただいた、武満徹とご自身に関するエピソード、コンサートの思い出、好きな曲や歌などを集約します。

ひとりひとりの感性や記憶にフォーカスしたアーカイブの試みです。

大平まゆみ さん

​元札響コンサートマスター

実は、私武満さんとお会いしたことがないのです。残念なことに、私が入団する前の録音でした。

ただ武満さんの曲は演奏するよりも聴く方が楽しい、といつも思っていました。細かな指示が多く、演奏している時には、

まるで印象派の絵画の一筆でしかないのです。でも遠くから観ると、その全体像が見えて来るのです。不思議な世界でした。

荒木均 さん

​札響チェリスト

高校生の時に「世界初演曲集」をここにあった旧市民会館でリアルで聴いたが、その時点ではまだ、ほとんど理解できない状態だった。今あらためて聴くと当時の札響がとても良い仕事をしていると思う。練習はさぞ大変だったろうと思う。

 PMF 参加時に、武満徹さんもコンポーザーとして参加。アカデミー生だった自分とはほとんど接点はなかったが、武満さんの佇まいは印象に残っている。その後、札響に入団し、武満作品を演奏する側になったが、特に岩城宏之さんの指揮で武満作品への理解と興味が深まったと思う。札響団員で結成した弦楽四重奏団で「ア・ウェイ・アローン」を取り上げた時は作品の緻密さに圧倒された。

ニック・エイカーズ Nick Akersさん

PMF組織委員会 Artistic Manager

Then in Sapporo, at my first Pacific Music Festival in 2013, I had the opportunity to observe as young musicians from around the world rehearsed and performed A String Around Autumn, and I will never forget the impressive depth of their understanding. In retrospect, that experience may have played an important role in cementing my commitment to PMF, to which I somehow still cling. I have since had the opportunity to ponder whether the broad fields and big sky of Hokkaido have been shaping forces in the aesthetic of the Sapporo Symphony Orchestra, and whether that is connected to their special understanding of Takemitsu’s work. (Quoting in part)

そして札幌で、2013年の私にとって初めてのPMFで世界各国から集まった若手音楽家が「ア・ストリング・アラウンド・オータム」を練習し、演奏したのを間近に見る機会に恵まれた。彼らの驚くべき理解の深さはこれからも決して忘れることはない。振り返ってみて、この経験がその後私がPMFに関わっていくきっかけとなり、今もそのよすがとなっているように思う。その後、北海道の広大な大地、大きな空が札幌交響楽団の美質を形成したのではないか、そして、それが武満作品への特別な理解へつながっているのかもしれないと思うことがあった。(メッセージの一部を抜粋、和訳:芝木 謙子)

多賀登 さん

​札響事務局長

武満さんは、札響のサウンドと演奏をとても愛していました。それは、東京から遠く離れた北の土地の、空気や生活から生まれてくるものなのだと思います。武満さんと共に音楽を築いたメンバーは既に卒業してしまいましたが、私たちは、尾高さんをはじめとする武満さんと交流のあった方、武満さんを深く敬愛する方々と共に、「武満徹の音楽」をこれからも、彼が愛してくれた私たちのスタイルで演奏し続けて参りたいと思っております。

竹津香苗 さん

​元札響事務局長竹津宜男氏夫人

映画『乱』の音楽の収録があったとき、武満さんは大変緊張しておられて、「黒澤監督と僕の間には必ず君が座ってくれ」とおっしゃったそうです。それで主人は黒澤監督と、武満さんとの間にいつも座ることになったそうです。

 また、札幌の宿舎から(『乱』の収録があった)千歳までいつも主人が送り迎えをしていたのですが、武満さんが支笏湖に寄りたいとおっしゃられたことがあってお連れしたら、湖面を長い時間じーっと見つめておられて、主人は長い時間じーっと待っていたそうです。そのときの写真も残っているんですよ。

 PMFのレジデントコンポーザーにいらしたとき、わたしもその場に伺ったことがありました。アカデミーのオーケストラの練習に武満さんが入ってこられた際、アカデミーの子供たちが本当に武満さんのことを尊敬していることがよく感じられたんです。あの武満さんと一緒に演奏ができるっ!というような、感激と緊張とが混ざった、尊敬の念でいっぱいになっていることがそばにいたわたしの方にまで伝わってきました。

 一度、(1982年の世界初演を企画された)渡邊さんって、どんな方?って主人に聞いたことがあるんです。そしたら主人は、「大変偉い若者で、すごいアイデアマンなんだ」って褒めていたんです。上田さん(前札幌市長の上田文雄さん)とのやりとりは、後で上田さんから丁寧なお手紙をいただいたので知ったんです。そのお手紙は主人の写真の前に置いてあるんですよ。

中明景子 さん

1962年の現代音楽祭についてですが、p244の年譜で北海道放送主催と書かれています。当時の社長である阿部謙夫さんのwikiを同窓生の方がまとめています。札幌交響楽団設立にも関わられているので、見ていただけると幸甚です。

 

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E9%83%A8%E8%AC%99%E5%A4%AB

 

個人的には、合唱曲「風の馬」を関屋晋さんの指揮で歌ったことが、よみがえりました。すでに高校音楽教科書に武満ソングが掲載されているので、皆さん口ずさんでみましょう。

能瀬 さん

札幌市清田区

1976年、中学の時にNHK教育TVで偶然聴いた広瀬量平さんの「尺八協奏曲」にビビッと来てから、それまで全く接したことのなかった現代音楽を聴き始めました。港さんがトークで言及されていたNHK FM日曜夜の「現代の音楽」や平日午後の「音楽のすべて」の中の1年以上のロングラン企画の現代日本曲特集をエアチェックして貪るように聴き、もちろん武満さんの音楽にも触れてファンになりました。札響のオール武満プログラムは残念ながら聴きませんでしたが、道新ホールでの札響オール伊福部プログラムには高校の音楽仲間と行って大変感動しました。

その後大学で入った合唱団の春休み合宿のアンサンブル大会でリーダーになった友人から選曲を相談され「小さな空」を勧めたら取り上げてくれて歌うことができ、さらにそれに感動した彼が正指揮者に熱心に勧めて定期演奏会のアンコール曲に採用され再度歌うことが出来ました。独特のハーモニーの響きが最初に立ち上がった時はとても嬉しかったです。

人生の着地点が彼方に見え始めましたが、出来ることなら「風の馬」を一度歌ってからあちら側に行きたいと願っております。

​他にも続々とエピソードをいただいております。準備が出来次第、掲載させていただきます。

武満徹とご自身に関わるエピソード・コンサートの思い出・好きな曲や歌をお持ちの方は、
mei-info@mei-senses.comまでぜひお寄せください。お待ちしております。
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音は人間の命のように、宇宙的な秩序とか、その絶え間ない繰り返しを生きたり死んだりして、生成し続けている……(武満徹)。音楽・自然・社会・文明。

世界的作曲家が札幌で語った熱い言葉を読み解く、知性と感性の交響。

時代を超えて響く、武満徹の言葉──

1982年札幌、岩城宏之指揮・札幌交響楽団により行われた「世界初演演奏会」。その舞台で世界的作曲家は自らの音楽のみならず、文化の多様性から自然と文明の行方について、情熱とユーモアを交えて聴衆に語りかけた。「1982武満徹世界初演曲集」として、2021年夏ドイツ・グラモフォンからCDリリースされた、異例の特別講演を完全収録した本書は、凝縮された内容を多角的に読み解きながら、世界とローカルの価値を考えるための豊かな水脈を探りあてる。小沼純一による講演「武満徹作品をどう聴くか」をはじめ、丁寧な解説と詳細な註を付し、初演にいたる経緯や武満と札幌の特別な結びつきをたどる関係者座談会、演奏資料等も掲載する。

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